忘れてたわけではなく、順番にと思っていたらこんなに遅くなってしまいました…。
ってことで過去記事こちらです>グレーボールについて考える。そして作る!
なんせ学生の時に書いたものです。色々間違いもあったり・・・
結論から言うと大半の事が間違ってました。(既に約一年前に訂正もしていますが)

ってことで改めてまとめたいと思います。
さて前回の記事がここに対しても意味をしてきます。
まず根本的な間違い。反射率18%グレー=50%グレー(明度50%)ではないということ。これは前回の内容で分かると思います。(反射率18%グレーは約46%)
反射率とは拡散反射率(Diffuse)の事でリニア値で言う輝度(Value)値にあたります。
(リニア値がってことでカメラのトーンマップ処理等で撮って出しの写真だと18%グレー=50%グレーってことはあります。)
18%というのはあくまで適正露出の参考値でしかありません。写真や映像をやっている人は分かると思いますが適正露出とは結局のところ適正値にしたい場所によって変わるものなので常に変化します。
※なぜ18%か?人間の肌や自然風景の被写体の反射率を平均化すると大体18%になるらしいです。
グレーボールはあくまでリファレンスにしか出来ません。球体なので明確な露出基準にもしにくいためです。
グレーでなく白のボールを使う場合もあります。これでもリファレンスとしては全然問題有りませんが屋外の場合太陽光は強いので白だとほとんどが白飛びしてしまい使えない可能性があります。
なので適正露出である18%のグレーであればほとんどの環境でリファレンスとして使いやすいということ18%と言われることが多いのだと思います。
本来の目的としてはキーライトの方向を判断したり、シャドーのカラーやグラデーション具合のリファレンスとして使うのでそもそもそこまで18%にこだわる必要がありません。
当然明確な値になっていればCG側で用意するグレーボールの設定はしやすいです。しかしこれも多少ずれたグレーでもカラーチャートなどを一緒に撮影しておけば大体一致したグレーボールを用意出来ます。
また、色を合わせることが目的ではないので多少ずれていても問題は無いと思います。
色はちゃんとカラーチャートを撮影しておき、それに合わせるべきです。
さらに言えば無彩色RGB18%のグレーチャートっていうのは数少ないですなぜなら露出基準なので輝度値が18%であればいいからです。
前回使っていた”銀一シルクグレーカード”も完全無彩色RGB18%ではありません。
ということで作りなおしたグレーボールがこちらになります。

前回では"ターナーアクリルガッシュニュートラルグレー5"を使っていましたがやはり少し青みが強いのと持ち歩きの強度が弱い、筆で塗ったためムラが多いという点がありました。
そこで今回はエアスプレーでラッカー塗装にしました。
仕様した塗料は”ガイアカラー ニュートラルグレーⅢ”です。
これだけでは光沢がキツいので同じく”ガイアカラー Ex フラットクリアー つや消し”を塗っています。

それでも若干光沢は残りますが前回よりなめらかで強度も上がりました。
ついでに持ち手も取り外し出来るようにして持ち歩きやすいように。
板にボール同様ペイントしたものをパッチとして用意しておいたので、カラーチャートと一緒に撮影しチャートを基準値に合うよう調整後ペイントの色を簡易的に測定し、CG側の色の基準とします。

結果としてほぼ50%に近いニュートラルなグレーということで非常に良い結果となりました。(※計測器による測定ではないため正確ではない)
あくまでリファレンスとして使うのであればこれぐらいのラフな計測でも問題ないと思います。
今回は計測しやすいよう偏光フィルターを使い反射のない状態で撮影しています。この辺りはまた別途まとめます。
ディフューズカラーは上記の測定で分かったのでフレネルを考慮し、目合わせになりますが、リフレクション・グロシネスの値を調整します。これで前回とは考えが逆と言うか本来正しい現実にCGを合わせたグレーボールをCG上で用意ということになります。
これをグレーボールと一緒に撮影したHDRIだけでCG上でライティングしてみました。(Blender Cycles Render)
↓写真

↓CG(HDRIによるIBLのみ※露出補正のみあり)

どうでしょう?ほぼ問題ないレベルで合っているのではないでしょうか?
↓制作した簡易HDRI

これでCG側のグレーボールが用意できたので毎回調整しなくてもこれを使い回せば良くなります。
光源合わせのためには一緒にクロームボールもあったほうが合わせやすいです。(HDRIの向きを合わせるときもこの2つがあれば合わせやすくなる)


以上”続・グレーボールについて考える”でした。
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