※一から書くと終わらないので、ある程度使えることを想定した内容を含みます。
今回はバージョン2.5~を想定でいきます。記事内では2.53使用。
3DCG統合ツールのBlenderさんはコンポジットまで出来てしまいます。
ちょっとした実写合成ならAEなどなしで可能だと思います。
もちろん画像、動画加工も可能。
そんなBlenderでのコンポジットについて軽く触れてみたいと思います。
制作約3日 Blender、Voodoo使用 テクスチャを除きほぼBlenderのみで制作してみました。
解説は続きから!
Blenderではノード合成と、ノンリニア編集が一応出来ます。
ノンリニア編集=シーケンスエディタについてはあまり使っていないので今回はパスします。
と言うことでノード編集について。
利点
・レンダリング要素を活かした編集。
・Z震度を利用した被写界深度
・ベクターブラー
・キーイング
・カラコレ
・2.5からはColor Balance、Hue Correctが追加され高品位な色調補正が可能
・レンダーレイヤーを活かした合成
・オブジェクトIDを使いオブジェクト事のマスクの生成
欠点
・パスによるマスクをノード上で作れない
・処理が複雑になると重くなったり落ちたり…
さて、前置きはこの位で今回はコンポジットノードとレンダーレイヤをメインに話したいと思います。
まずレンダーレイヤについて。

レンダータブのLayersを開くと、上のように色々出てきます。
まず一番上にあるのが"Render Layer"です。これを使うことで各オブジェクトや要素を別画像=レイヤに
分ける事が出来ます。それらをコンポジットノードを使いコンポジットする事が出来ます。
Blenderでは全部で20のレイヤーが用意されています。これらにパーツなどを振り分ける事で表示非表示が
簡単に行えモデリングや各種設定がスムーズに行えます。
このレイヤとレンダーレイヤの"Scene"と連動しています。Ctrl+クリックで複数レイヤが表示でき、
レンダリングにはこれらの表示されているオブジェクトがレンダリングされるます。

"Scene"の隣にある"Layer"がレンダリング時に表示されるレイヤです。"Scene"で表示で"Layer"で表示の
場合"Layer"で非表示のオブジェクトの影が表示しているオブジェクトに影響しオブジェクトは表示されません。
"Light""Material"では単独ライト、マテリアル、でレンダリング出来ます。
"MasK Layers"を使うと名前の通りマスクで抜くことが出来ます。その場合マスクに使う"Layer"は非表示に
します。さらに"Inclube"の"Zmask"を使うとマスクの形状に切り抜かれます。Negateで前後関係反転。
詳細は下の画像参照してもらった方が分かりやすいと思います。
"All Z"は"Layer"で非表示のレイヤをマスクに使用します。
"Inclube"のその他の項目はレンダリングから除外したりするものですがあまり使うと思われないので説明スルー
※クリックで拡大

"Passes"が各要素の書き出しです。チェックを入れるとコンポジットノードの方で項目が追加されます。
カメラのマークの付いている項目はカメラにチェックを入れると"Combined"=最終結果から除外できます。
次にノードの説明に入る前に実写合成で必要になる影だけを残すマテリアルの設定の説明を。
以下のように"Traceable"のチェックを外し、"Shadows Only"にチェックを入れます。

これで自らは影を落とさず、周りにある物の影を受けるようになります。(※地面に使用)

ではノードについて。まず"Editor type"を"Node Editor"にします。
そして"Material nodes" "Texture nodes" "Compositing nodes"とあるので"Compositing nodes"にします。
そして"Use Nodes"にチェックを入れるとコンポジットノードが利用可能になります。

レンダリング設定の"Post Processing"の"Compositing"にチェックが入っているのを確認してください。
これはレンダリング結果にコンポジットノードの結果を反映するかどうかのチェックです。

全要素にチェックを入れて標準した状態。実際は必要な要素のみにチェックを入れればOK。

"Composite"と言うノードが最終的にレンダリング後表示=最終結果(出力)されるノードなので必ず一つ
必要となります。
"Render Layers"と言うノードが上記説明で言ったレンダーレイヤを分けた場合使用するレイヤを選択出来ます。
各種要素書き出しにチェックを入れた場合画像のように要素が追加されます。
後はこれらにノードを追加していき、コンポジットしていきます。
"Add"から各種ノードを追加出来ます。各ノードは"Shift+D"で複製出来ます。ポイントからポイントへドラッグ
するとノードを繋げます。削除は"Delete"キー
ではそんなノードの中から特に実写合成で頻繁に使う物を中心に一部紹介します。
Input
・Render Layers レンダーレイヤを追加出来ます。また別シーンの選択も出来ます。(Blenderは内部に
複数のシーンを設定でき、各種設定をリンクさせたり出来ます。)
・Image 外部画像、動画、シーケンスを読み込めます。

Output
・Viewer ノードの途中に繋ぐ事で各素材や、途中経過の確認が出来ます。かなり頻繁に使うと思います。
また、"Bakdrop"にチェックを入れると背景に選択している"Viewer"の画像が表示されます。
"UV/Image Editor"の方でも同じように表示できるのでパラメータをイジる時細部の確認が出来ます。
・Composite
・File Output ファイル保存。一般的な静止画、シーケンスで書き出し可能。外部コンポジットなどを
するとき各要素を保存したりするために使用。

Color
・RGB Curves トーンカーブによる色調補正
・Mix 描画モード切り替えによる合成。各種要素を重ねていく時など使用。
・Hue Saturation Value 色相・彩度・明度 による色調補正
・Bright/Contorast 明るさ・コントラスト による色調補正
・Alpha Over アルファ値のある画像同士を合成(レイヤを重ねていくイメージ)
・Color Balance 直感的で高品質なカラコレが可能。実写合成に最適。
・Hue Correct 指定色の彩度を抑えたりすることが出来る。同じく実写合成に最適。

Filter
・Blur ブラーをかけることが出来ます。
・Vector Blur ベクター情報を使った正確なモーションブラーをかけれます。要素の"Vector""Z"が必要。
実写合成する上でブラーは必須となってきます。ちなみにAEの標準機能では出来ません!
・Defocus 被写界深度をかけれます。カメラの設定項目の"Distance"で奥行きの値を設定しておく。
・Glare レンズフレアのような効果などを追加出来ます。

Convertor
・ColorRamp カラーランプ。画像をカラーグラデーションに変換したり
・ID Maske オブジェクトごとにIDを振り分けれます。そのIDを選択してマスクとして出力されます。
要素の"Object index"が必要になります。オブジェクト設定でIDの振り分けも必要です。

Matte
・Chroma key クロマキーです。質が高いとは言えませんがそれなりに抜けます。抜けにくい場合複数かける
と良いかも
・Color key カラーキーです。単色をキーイング出来ます。

Distortion
・Lens Distortion レンズの歪み、色収差を加える事が出来ます。なかなか良いです!

Group
"Ctrl+G"で選択したノードをグループ化してまとめることが出来ます。まとめた物は"Group"から再利用する
事が可能です。
この他にも紹介を省いたノードを含め、組み合わせで様々なコンポジットが可能です。
ということでこれらを使用して制作した(最初に掲載した)動画のコンポジットは以下のような感じです。
※クリックで拡大

レンダーレイヤや要素は以下のような感じです。
レイヤ1:リンゴ レイヤ2:旗


レイヤ3:影 影合成


レイヤ1:AO 全合成


色調補正 色調補正、レンズディストーション


見られた方も多いいと思いますが、最後にBlenderで制作された作品「sintel」の紹介。
オープンソースの可能性を感じますね。もちろんコンポジットもBlenderで行われています。
近々Blenderファイルも公開されると思うので色々勉強出来ると思います。
長々すいません、以上Blenderでのコンポジットについてでした!
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