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3D、コンポジット、マッチムーブ、カメラ、撮影について色々書きます。

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キーイング!クロマキー!

After Effects に標準で入っている Keylight はハリウッド映画でも使われている立派なエフェクトです。

なのになんでブルー・グリーンバックで撮影した素材が綺麗に抜けない?
今回はそんなクロマキー撮影について何が悪いのか?改善は出来ないのかを考えたいと思います。



ただグリーンやブルーの背景で撮影すれば綺麗に合成できるわけではない!

Chroma00.jpg

では綺麗に抜けない大きな理由から
①ブルー/グリーンスクリーン
②撮影/照明
③色情報
④インターレース
⑤ピクセル比
⑥ノイズ
⑦反射



では上の問題を順番に考えていきます。


①ブルー/グリーンスクリーン

まずなぜグリーン/ブルーなのか?
デジタル合成で考えると色の情報はRGB情報となるので、そのうちのどれかに偏っている方が
デジタル処理で効率が良いと言う事です。
じゃあ赤でもいいの?と言う話ですが、人物を撮影する場合肌の色と類似色になってしまいます。
そのため補色関係にあたる青、が使われる訳です。
ではなぜ補色では無い緑が使われる?どっちがいいの?

まず青が昔から使われる理由はフィルムで光学合成をしていたときからのもののようです。
詳しくはwikipedia:クロマキーの項目を見てください。
そして最近グリーンバックが多く使われるのは、ブルーバックで撮影するより肌の血色が良く見える。
ブルーよりノイズが少ない。少ない照明でも明るいなどの理由があります。
詳しくは③で説明する色情報に関係もします。
グリーンだとブロンドの髪は類似色になるので向かず、ジーンズがブルーには向かないなどの
人物、服装、小道具に対してグリーンを使うかブルーを使うか決める理由にもなります。
もちろんハリウッドではグリーンが多く使われますが、日本人は肌に黄色成分が多く含まれるので
本当の所は青の方が良いのでしょう。


スクリーンはカメラの性能が低い(データ圧縮率が大きい)ほど、専用のものがいいのでは?と思います。
その理由は以下の問題点を見ればわかると思います。
良いスクリーンはハイライトが入ったりせず、むら等も出にくいです。

そこまで本格的にはなかなか出来ませんが塗装する場合塗料は専用のものがあります。

またLEDライトと反射材を組み合わせた簡易システムもあります。詳しくはこちら
これはグリーンとブルーを簡単に切り替えることができる。照明が少なくて良い。むらが出にくい
などの利点があるようですが、実物は見たことも無いので実際のところどうなんでしょう?


②撮影/照明
まずは当然ながらホワイトバランスの設定。撮影時と同じ照明下でカメラのホワイトバランス
をセット。
クロマキー合成を考える上で照明が大切になります。屋外シーンに合成する場合一番良いのは
そのまま屋外で撮影することです。下手にライティングするより良いと思います。もちろんその
場合晴れでないとダメですが。
スタジオの場合照明が合っていないと合成やカラコレが難しくなります。
背景のスクリーンには均一に照明があたるようにします。これが一番大切です。
-照明はまた別の知識と技術が必要ですね。

被写体にスクリーンの色が照り返さないように極力スクリーンから離れるようにします。
照り返しが起きる場合ホワイト紙や黒い布などを使い照り返しを抑える事が出来ます。

これらの設定を的確に行うには、Adobe OnLocationなどを使いカメラキャブレーションを行い
波形モニタを見て色調補正等を行う方が良いみたいです。みたいです。というのはやったことがまだ
無いからです。近いうちに環境を整えてやってみたいです。

OnLocationを使うとディスクに直接録画できるので③の問題の解消にもつながります。


マッチムーブなどをしない場合カメラのフレームいっぱいに被写体を撮影しておいて、キーを抜いた
あとに縮小等した方がエッジの処理が綺麗に出来ます。もちろん素材なのでセーフティーフレーム
も気にしなくていいです。場合によってはカメラを90度傾け縦撮りなどをすることも出来ますが、
サイズによっては⑤のピクセル比に注意が必要です。

マッチムーブを行う場合スクリーンと同色で明度の違うものを使うとキーを抜くときには一緒
に綺麗に抜け、マスクを切る作業をしなくてすみます。


③色情報
これは多くはカメラの映像フォーマットの問題になります。上記の通りOnLocation等を使うことで
解消可能な場合もありますが撮影時PCが必要になってしまいます。

多くの映像データフォーマットはRGBではなくYUVの色空間のデータで保存されます。
テープレスのこの時代できれはRGBデータで扱いものですがそう簡単にはいきません。
なぜYUVの色空間を使うのかというと人に目は輝度には敏感で色差には鈍いと言う特性を生かす事で
高い圧縮率でデータサイズを小さくできるからです。これはJPEGに使われている圧縮技術と同じもの
だそうです。

YUVとは、Y=輝度、U=青系統の色差、V=赤系統の色差、で成り立つものです。緑はこれらの情報
から割り出されます。計算式は自分もよく分からない+今回の話に必要ないので割愛。
RGBとYUVはほぼ1:1で変換されるので大きな劣化はありません。
上記の通り輝度以外に人間の目は鈍いのでUVの情報量を減らし、データサイズを小さくします。


ここで①のなぜグリーンスクリーンを使うかと言う話に戻ります。緑は輝度が高いのでYに含ま
れる情報量が多くなります。よってRGBに変換されたとき緑に対するノイズなどが少なくなる以外に、
色情報も多少多くなります。輝度が高いので撮影時にも色むらも出にくいです。
よってグリーンの方が綺麗に抜けると言う事です。
これにより天気予報などのスタジオがブルースクリーンであることにも説明が出来ます。
青はRGBの中で人物に対して補色なので一番抜きやすいと言う事です。なのでリアルタイムでキー
を抜く場合色情報はRGBで圧縮がされていないのでRGBの青の方が抜きやすいと言う事です。
たまに見かけるWebカメラなどで意外に綺麗に抜けて見えるのも同じ事が考えられます。


そしてYUVでもサンプリング周波数によっても変わります。これは簡単に言うと圧縮のレベルで、
最高が4:4:4のサンプリングです。全ピクセルがそれぞれYUV全情報を持っている状態です。
テスト画像はHDVなので4:2:0です。これは4:4:4の1/4の色差の情報量しか持っていないと言う事です。
DVは4:1:1で情報量はHDVと同じです。業務用カメラの多くは4:2:2のものが多く4:4:4の1/2の色差情報
を持っています。これは説明が難しいのでこちらのリンク(MacDTV.com)等を参考にしてください。

Chroma01.jpg
HDVを取り込んでAE上でRGB表示されている状態。

Chroma02.jpg
チャンネルコンバイナーでYUV表示した状態。正しい表示状態はwikipediaの画像を参照して下さい。

Chroma03.jpg
青矢印部分を拡大するとYに比べUVのピクセルが荒いのが分かります。
またRGB表示だとGのエッジが一番綺麗に出ています。※背景がグリーンだからって訳では無いです。


上の図の通り4:1:1や4:2:0はUVの色情報が少ないのでエッジが荒くなったりする原因になります。

解決方法は一般的に情報の足りないUとVにブラーを掛けることでエッジをなめらかにします。
エフェクト>チャンネル>チャンネルコンバイナー>をかけ変更オプションを「RGBからYUVに」
次にエフェクト>ブラー&グレイン>チャンネルブラー でR=Y、G=U、B=V と対応するのでGとB
に1~2程度ブラーをかけます。そしてもう一度チャンネルコンバイナーをかけ「YUVからRGB」
へと戻します。
Chroma06.jpg

Chroma08.jpg
チャンネルブラー適応前。

Chroma05.jpg
チャンネルブラー適応後のYUV表示。

Chroma04.jpg
Chroma09.jpg
チャンネルブラー適応後のRGB表示。一見変化無いように見えますがエッジがなめらかになってます。
下は400%のR表示


④インターレース
インターレース素材はエッジにジャギーが出ます。AEでは内部処理でプログレッシブへと処理が
されていますが、シーンによってはチラツキが出たりもします。
理想はプログレッシブ素材がキーイングする上では理想的ですがそうもいきません。
必要によっては一度インターレースを解除した素材にした方が良いかもしれません。その時
注意しなければいけないのが圧縮をかけないことです。元々抜けの悪い素材を圧縮すると余計に
抜けが悪くなります。
Chroma07.jpg
上の画像はYUV表示のYですが、見ての通り縦2ピクセルあります。これはAE上でプログレッシブ
に変換され自動補間せれているためです。


⑤ピクセル比
例えばHDVは1440×1080を最終的に1920×1080で表示するワケなので横に480ピクセル足りない
と言うことで横にピクセルが伸びている事になります。
これは純粋に伸びているわけなのでこれもエッジのジャギーの原因になります。
Chroma10.jpg
左がピクセル補正OFFでピクセルは正方形。右の画像がピクセル補正ONの状態ピクセルが伸びている
のがわかる。コンポジションは1440×1080 ピクセル縦横比1.33


⑥ノイズ
カメラによってはグレインノイズが多く抜けの悪い要因の一つとなります。
今回の素材もそうです。
エフェクト>ノイズ&グレイン>グレイン除去 でノイズを取り除けますが処理は重くなります。
また映像によってはグレイン除去により画がのっぺりしてしまうかもしれません。
Chroma11.jpg
ノイズは減りますが、全体にグローのかかったような感じになります。


⑦反射
服や小道具、イヤリング、時計などが反射素材の場合背景のスクリーンが映り込み一緒に抜けて
しまい、結局手でマスクを切ったりしなければならないかもしれません。
そういう素材は極力さけ、ものによってはつや消しのニス等を塗る事等で避けれる場合があります。
また②で書いたように影響のない部分で黒の布などを垂らし反射を抑える方法もあります。



結論:良いカメラ(非圧縮データ)=撮影が少々雑でも抜ける。でも大切。
   良くないカメラ(圧縮データ)=スクリーン、照明などかなり気をつけないと綺麗に抜けない。








おまけに「Keylight」の使い方を簡単に解説します。
Chroma13.jpg
基本的な使い方はいろいろな本などに書かれています。今回はKeylightの製造元のThefoundryの
チュートリアルを参考にしてます。Thefoundryのサイトでは最新版のKeylightやチュートリアル、
ユーザーガイド、チュートリアルデータなどが提供されていました。映画素材がどれだけ綺麗に
抜けるか体験出来ます。

では使用手順。
View で各表示方法の切り替え。(よく使うと思われるものだけ)
Source=元データ Screen Matte=最終的に作られるマット 
Status=マットを黒、灰色、白のシンプルな表示でマットの状態を簡単に見ることができる。
Final Result=最終的な画

Screen Colour=背景色を選択。何度か試して一番綺麗に抜ける部分(色)を選択。
Keylightはブルー・グリーンで撮影された素材を前提に設計されているので、カラーキーエフェクト
のようにどんな色でも抜けるものではありません。

Screen Gain=指定した色の許容量の設定。数値は100が理想で上限150程度までで抜けない場合
素材、Screen Colourでの選択色を見直した方が良い。
この時View をStatus に切り替えると数値を決めやすい。数値を上げ緑色などが表示される場合
色カブリが補正されている部分で質が落ちている部分なのでReplace Methodを切り替え補正する。

Despill Bias、Alpha Bias=照明等が不十分で色カブリした場合これで指定した色を除外できる。
基本的には使わない素材が理想。髪の毛のエッジに色が残った場合などにも使う。

Screen Pre-blur=裏処理で元データにブラーをかけるので抜けの悪い素材、ノイズの多い素材など
の場合1~3程度の数値を入れることで抜けが良くなる。ブラーがかかるのでエッジがぼやけてしまう
ので抜けが悪い場合以外はあまり使わない。

Screen Matte=マットの詳細を設定する項目
Clip Black、Clip White=簡単にいえばレベル補正。ViewをScreen Matteに切り替え、数値を
調整し、マットを綺麗にする。お互いの数値がデフォルトに近い事が理想で、お互いの数値が
近づくほどマットの質は落ちているこになる。=ジャギーが出る。

Clip Rollback=上記の数値が近づきすぎた時1~3の数値を入れエッジを元の状態に戻していける。
通常は入力しなくて良い。

Screen Shrink/Grow=チョークエフェクトと同じようにマットを広げたり縮めたりできる。
エッジにラインが入ってしまう場合-0.5~-2程度の数値を入れることでエッジを綺麗にできる。

Screen Softness=エッジをぼかす事ができる。合成時エッジの馴染みが悪い、エッジにジャギーが
出ている場合、1~2程度の数値を入れる。

Screen Despot Black、Screen Despot White=小さなシミのようなものが残る場合数値を入れる。
通常はいじらない。

Resplace Method=色かぶりの補正の設定。反射しているスクリーンの色を取り除いてくれます。
None=補正なし、Source=元の色を表示、Hard Colour=完全にかぶった色を取り除く
Soft Colour=デフォルトはこれHard Colourより微妙な結果になりやすい。画像が荒れたように
なる場合これらを切り替えてみる。
Replace Colour=補正後の色調色の変更。基本的にはいじらない。

Inside Mask=一部分が抜けてしまう場合、パスで書いたマスクを使い範囲に加える事ができる。
Outside Mask=除外したい部分のマスクを追加。
注意点としてどちらともマスクの設定は「なし」にする。マスクはひとつしか追加出来ない。

Colour Correction、Edge Colour Correction=一応Keylightだけで色調補正までできる。
基本的には別エフェクトで補正する方が多いいと思う。


よく本やチュートリアル見てるとなるべくマスクで囲って範囲を狭くした方が良いように書いて
ありますがこれってどうなんでしょう?Thefoundryのユザーガイドにはそのような記述はなく、
確かにスクリーンにムラがある場合Screen Gainの数値を抑えて残りはマスクで切った方が良い
と思いますが、素材にもよるけど、マスクで囲ったからと気休め程度しか処理も軽くならないし、
最近のPCならマスク切る時間あれば別のことをしたほうがと思うのですが?どうなんでしょう?




※自己解釈で補っている部分もあるので間違いを書いている場合ご指摘下さい。



最後に今回参考にしたサイトの一部
General Specialist: Greenscreen and Bluescreen Checklist
Greenscreen Primer Part 1,Part 2
Color Keying in After Effects CS3
関連記事

コメント

すばらしいッス!素直に関心しました。
RGBとYUVの話はたしか、“AfterEffects+HDの基礎”でも紹介していたと思います。
自分も色々と合成してきましたが、keylightは使えますね!

自分の経験からの余談ですが、
keylightなどで一番最初に抜く色をスポイトでとりますよね?
そのポイントの選び方で抜け方がだいぶ変ります。

画面全体で一番均等に見える部分の色を選択しがちですが、
自分はいつも少し暗めの所を選択します。
そうすると、暗い所も明るい所もほぼ1発で抜けますょ。

それと自分はいつも同じ素材のレイヤーを二つ並べて抜いています。
順番はこんな感じです。

レイヤー1:keykight適用しマット表示にしたもの。
レイヤー2:レイヤー1の輝度でトラックマット。
      オリジナルの素材に色調整のみをする。

みたいな感じです。
その方が色調整も早いし綺麗に調整できます。

いろいろと試してがんばってみて下さい!

長文、失礼しました!

  • 2010/06/26(土) 02:40:48 |
  • URL |
  • JERO #7VgScPWU
  • [ 編集 ]

Re:

JEROさん。コメント有難うございます。
YUVの事はそうですね。“AfterEffects+HDの基礎”“とAfter Effects CS4 スタジオテクニック”
等に書かれていたと思います。←恥ずかしながら自分は持ってませんww 
今回の記事はネット上の情報のかき集めです。

確かに初めの色選びは大切ですよね。
知識だけでなくいろいろ試して実際の腕も伸ばしていきたいと思いますw

  • 2010/06/26(土) 12:17:22 |
  • URL |
  • kurono73 #-
  • [ 編集 ]

信じられないほど分かりやすく、良い記事ですね!
とても参考になりました。
ありがとうございます。

※自分は参考になっても滅多にコメしないのですが、スゲェ参考になったのでコメさせて頂きました(笑)

  • 2012/07/16(月) 08:45:42 |
  • URL |
  • SARASA #-
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ありがとうございます!w

  • 2012/07/16(月) 23:59:21 |
  • URL |
  • kurono73 #-
  • [ 編集 ]

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